微細化が進むと、トランジスタは「平ら」から「立体」へと形を変えてきました。その進化を追います。
トランジスタ=電気で動くスイッチ
ふつうのスイッチは指で押します。トランジスタは電気(電圧)で押すスイッチ。だから人の手を借りずに、超高速でON/OFFをくり返せます。
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MOSFETの3つの端子
いま最も使われるトランジスタがMOSFET。3つの端子があります。
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- ソース:電流の入り口
- ドレイン:電流の出口
- ゲート:電圧をかけて、ソース〜ドレイン間の通り道(チャネル)を開け閉めする「見張り番」
ゲートに電圧をかけると通り道ができて電流が流れ(=1)、切ると流れない(=0)。これだけです。
スイッチを組み合わせると「計算」になる
トランジスタを組み合わせると、AND(両方ONで通す)やOR(どちらかONで通す)といった論理回路が作れます。下のデモで、2つのスイッチのAND を体験できます。
🎛️ トランジスタのスイッチで遊ぼう
2つのトランジスタを直列につなぐと「AND(両方ONで通電)」になります。押して光らせてみましょう
両方ONのときだけ電流が通り、出力が1になります。これが論理回路「AND」。半導体はこのスイッチの集まりです
この小さな判断を何十億個ぶん高速にくり返すことで、チップは計算・記憶・通信をこなします。
平面(プレーナ)型の限界
昔のMOSFETは、ゲートがチャネルを上の1面からしか制御していませんでした(プレーナ型)。小さくすると、ゲートを閉じても電流がもれるリークが増え、省エネと性能が両立できなくなりました。
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FinFET:3面から囲む
そこで登場したのがFinFET。チャネルをヒレ(フィン)のように立て、ゲートで3面から囲むことで制御力を高めました。22nm世代あたりから長く主役を務めました。
GAA:全周から囲む(2nmの主役)
さらに進んだのがGAA(ゲート・オール・アラウンド)。チャネルを板状(ナノシート)にして全周をぐるりと囲む構造です。制御力が最も高く、リークを抑えられます。
FinFET
- ヒレ状のチャネルを3面から囲む
- 22nm〜5nm世代の主役
- 微細化でヒレが増えて限界に
GAA(ナノシート)
- 板状チャネルを全周から囲む
- 2nm世代の主役
- 電流ともれの両立に有利
2026年の主戦場
TSMC N2・Samsung SF2・Intel(RibbonFET)・Rapidus——2nm世代の各社はいずれもGAA系を採用。トランジスタの形が世代の分かれ目になっています。
📚 もう少し詳しく(背景)気になる人向け・タップで開く
トランジスタは、微細化を続けるために構造そのものを進化させてきました。長らく主流だったのは、電流の通り道(チャネル)が平面的な「プレーナ型」。しかし極限まで小さくすると、スイッチをオフにしても電流が漏れる問題が深刻になりました1。
これを解決したのが、チャネルをヒレ(フィン)のように立てて、ゲートで3方向から囲む立体構造 FinFET(2010年代に実用化)。囲む面積が増えることで、漏れを抑えつつ確実にオン/オフできるようになりました2。さらにその先が、チャネルを全周ぐるりと囲む GAA(ゲートオールアラウンド、ナノシート) で、2nm世代で主役になりつつあります。
この流れの本質は、「平面での縮小」が限界に達したので、立体化してゲートの制御力を高める方向へ転換したということ。つまりトランジスタの進化史は、微細化の壁にぶつかるたびに構造を作り替えてきた工夫の歴史です。新素材(次世代はより移動度の高い材料)の研究も並行し、性能向上への挑戦は続いています。
