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CPUはどう計算するのか|論理回路から命令サイクルまで

2026-09-30 ・ 入門

#CPU#命令実行#フェッチ#入門

パソコンやスマホの頭脳「CPU」。中では一体、何が起きているのでしょう? 実はCPUは、とても単純なことを猛烈な速さで繰り返しているだけ。そのしくみをやさしく解説します。

CPUは「命令を1つずつ実行する機械」

プログラムは、CPUへの命令の並びです。「この数とこの数を足せ」「結果をここに置け」といった単純な命令の列。CPUはそれを上から順に、1つずつ実行していきます。

論理回路:3つの基本ゲート

すべての計算は、たった数種類の論理ゲートの組み合わせでできています。

🔗

AND / OR

  • AND: 両方が1のとき1
  • OR: どちらかが1なら1
  • スイッチの直列・並列で作る
VS
🔄

NOT

  • 入力を反転(0↔1)
  • 1個のトランジスタ対で作る
  • 他のゲートと組んで万能に

下のデモは、2つのトランジスタを直列につないだAND。両方ONのときだけ電気が通ります。

🎛️ トランジスタのスイッチで遊ぼう

2つのトランジスタを直列につなぐと「AND(両方ONで通電)」になります。押して光らせてみましょう

電源AB○出力 0

両方ONのときだけ電流が通り、出力が1になります。これが論理回路「AND」。半導体はこのスイッチの集まりです

いろんなゲートも試してみましょう。入力A・Bを切り替えると、出力と真理値表がどう変わるか一目でわかります。

🔌 論理ゲートビルダー

入力を切り替えて、ゲートが0と1をどう計算するか見てみましょう

両方が1のとき1

入力A

入力B

→ ∧ →

出力

0

A・Bのマスを押すと0↔1が切り替わります

真理値表(いまの入力の行が光ります)

AB出力
000
010
100
111

この小さな判断(ゲート)を何十億個も集めたものがCPUやGPUです。NANDだけですべての回路が作れます

省エネの主役「CMOS」

現代のデジタル回路はCMOSという方式。N型とP型のMOSFETをペアで使い、切り替わる瞬間しか電気を食わないのでとても省エネです。スマホやPCが電池で長く動くのはCMOSのおかげ。下のデモで、静止時はほぼ0Wで、電圧や周波数を上げると消費電力が増える様子を体感できます。

🔋 CMOSの省エネを体験

CMOSは「切り替わる瞬間」だけ電気を食う省エネ回路。動かして電流と消費電力を見てみましょう

VDDGNDPMOS ONNMOS off1出力入力 0

電流計

ほぼ 0(静止中は電気を食わない)

電圧 V1.0V(相対)
スイッチ頻度 f4
消費電力(P ∝ V²×f)小さい🌱

1%(最大比・ざっくり)

止めると電流ほぼ0=待機中はほとんど電気を食いません。消費は電圧の「2乗」に効くので、電圧を下げるのが省エネの王道です

ゲートを積み上げると頭脳になる

ゲートを組み合わせると、足し算をする回路(加算器)、記憶する回路(メモリ)、判断する回路ができます。これらをさらに集めると、CPUやGPUといった「頭脳」になります。

🌱

要するに

0と1のスイッチ → 論理ゲート → 計算・記憶 → CPU。半導体は「小さな判断の超巨大な集まり」です。

フェッチ・デコード・実行のサイクル

CPUの基本動作は、3ステップの繰り返しです。

命令サイクル

📥

フェッチ

命令を取ってくる

→
🔍

デコード

何をするか解読

→
⚙️

実行

計算して結果を保存

メモリから命令を取り(フェッチ)、それが何の命令か解読し(デコード)、演算器で実行する。これを1秒に何十億回も繰り返します。

登場人物

💡

CPUの中の役者たち

・レジスタ:計算中のデータを一時的に置く超高速の小さな入れ物(フリップフロップの塊)。・ALU(演算器):足し算などの計算をする(加算器が中心)。・プログラムカウンタ:次に実行する命令の場所を覚えるカウンタ。・メモリ:命令とデータをたくさん置いておく場所。これらが連携して計算が進みます。

なぜ速い?なぜ何コアもある?

🌱

クロックとコア

CPUの「〇GHz」は、命令サイクルを1秒に何十億回刻むかの速さ(クロック)。かつては周波数を上げて速くしていましたが、電力の限界で頭打ちに。そこで「コア(CPUの本体)を複数積んで並列に処理する」マルチコアへ。今のPCが何コアもあるのは、この歴史のためです。

メモリとの距離が速度を決める

命令もデータもメモリにありますが、メモリはCPUより遅い。だから間にキャッシュという速いメモリを挟んで、待ち時間を減らしています。「計算そのもの」より「データをいかに速く運ぶか」が、実は現代のCPU性能のカギです。

まとめ

  • CPUは命令を1つずつ実行する機械
  • フェッチ→デコード→実行のサイクルを高速で繰り返す
  • レジスタ・ALU・プログラムカウンタ・メモリが連携する
  • 周波数は頭打ちでマルチコア化。メモリとの距離が速度を左右
📚 もう少し詳しく(背景)気になる人向け・タップで開く

CPU(中央演算処理装置)は、コンピュータの"頭脳"ですが、やっていることは意外と単純の繰り返しです。命令を読む→解読する→実行する→結果を書く、という基本サイクルを、猛烈な速さで延々とこなしているだけ(フェッチ・デコード・実行)1。1秒あたり何十億回(GHz)というクロックに合わせて、この歯車が回っています。

速さの秘訣は主に3つ——クロックを上げる、1回により多くの仕事をさせる、そして並列化(複数のコアで同時に処理する)です。かつては微細化でクロックをどんどん上げられましたが、発熱の壁でそれが頭打ちになり、今は「コアを増やす」方向が主流になりました2。

さらに、よく使うデータを手元に置くキャッシュや、命令を先読みして流れ作業のように処理するパイプラインなど、あの手この手で効率を上げています。単純な論理回路の膨大な集まりが、これほど賢く速く動くのは、こうした工夫の積み重ねの結果です。

次の一歩

演算器の中身はNANDから全加算器、記憶はフリップフロップ、速さの工夫はキャッシュのしくみへどうぞ。

Footnotes

  1. CPUは「命令フェッチ→デコード→実行→書き戻し」の基本サイクルを反復する。クロック周波数はこのサイクルを刻む速さで、パイプライン化で複数命令を並行処理する。 ↩

  2. 発熱と電力の壁でクロック向上が頭打ちになり、単一の高速コアから複数コアの並列処理へ移行した。そのぶんソフト側も並列に書く工夫が必要になった。 🌸 ↩

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