
日本の半導体|Rapidus・TSMC熊本と復活戦略
2026-08-17 ・ ビジネス
半導体は日本の産業政策の最重要テーマの一つ。日本の現在地と戦略を整理します。
かつての栄光と、その後
1980年代、日本はDRAMなどで世界シェアの過半を握る半導体大国でした。しかしその後、価格競争や投資判断の遅れなどで最先端ロジックの製造から後退。装置・材料では今も世界トップ級という「強い部分と弱い部分」が同居する状態が続いています。
強みは装置・材料
- 東京エレクトロン:製造装置で世界大手
- 信越化学・SUMCO:シリコンウェハで世界シェア上位
- フォトレジスト・特殊ガス:日本勢が高いシェア
最先端チップは、日本の材料・装置なしには作れません。ここが日本の交渉力の源泉です。
復活戦略:RapidusとTSMC熊本
TSMC熊本
JASMが量産・第2工場も
Rapidus
北海道千歳で2nm試作成功
国の支援
巨額補助で製造を国内回帰
- TSMC熊本(JASM):ソニー・デンソーも出資し量産を開始。関連投資が地域経済を押し上げています。
- Rapidus:北海道・千歳で2nm量産を目指す新会社。2nmの試作に成功しましたが、量産規模とビジネスモデルの確立がこれからの課題です。
なぜ国が本気なのか
半導体は経済安全保障の要。AI・防衛・自動車すべての基盤であり、供給を他国だけに頼るのはリスクです。だから国は巨額補助で製造能力の国内回帰を進めています。日本の「戦略17分野」でも半導体は筆頭格です。
もう少し詳しく(市場と背景)
日本の半導体は、栄光と凋落、そして復権への挑戦という物語で捉えると分かりやすい。1980年代、日本はDRAM(メモリ)で世界を席巻し、半導体シェアで世界一を誇りました。しかし日米半導体摩擦や、韓国・台湾勢の台頭、投資判断の遅れなどで、最終製品(チップ)のシェアは大きく後退しました1。ただ、日本が完全に脱落したわけではありません。むしろ、製造装置と材料(シリコンウェハ、フォトレジスト、各種の高純度薬品)という"川上"では、今も世界的に高いシェアを握り続けています2。近年は国策として復権を目指し、TSMCの熊本工場誘致や、最先端2nmを狙う国産ファウンドリ「Rapidus」への大型支援など、大きな賭けに出ています3。背景には、経済安全保障上、チップを自国・同盟国で作れるようにする世界的な流れがあります。かつての製造強国が、材料の強みを土台に製造能力を取り戻せるか——日本の半導体戦略は、今まさに正念場を迎えています。